風のたより

まいけるのつれづれ〜読書日記を中心に

ボクの音楽武者修行/小澤征爾

青年は原野をめざす。
小澤征爾さんの訃報が届いた。若い頃、この本がエネルギーを与えてくれた。小田実さんの「何でもみてやろう」とともに私のバイブルだった。
貨物船で2ヶ月かけて、ヨーロッパをめざす。見えてくる島に、燃えるような夕焼けにひとつひとつどきどきを感じながら。どきどきの瑞々しさが若さであり、エネルギーだ。
スクーターと日の丸で人とつながり、不安を自信に変え、やがては大きなコンクールで一等賞をとる。
才能は覚悟。昨日読んだ本の通りだ。
行き当たりばったりの旅が指揮者への道につながっていく。
尊敬するシャルル・ミュンシュの懐に飛び込み、カラヤンの弟子になり、バーンスタインの友となっていく。
ホームシックにかかり、家族に手紙を綴る。
3年の月日を経て日本に帰ってきた時の大いなる喜びが思い浮かぶ。

娘達にプロコフィエフの「ピーターとおおかみ」を聴かせた時、怖がって怯えた。あのアルバムは小澤征爾さんのCDだった。水戸の管弦楽団との演奏も何度か聴いた。

ラグビーを愛した指揮者。
指揮棒、いや身体全体でハーモニーを引き出した指揮者。
自分の筋肉の力を抜き切る状態をつくることが指揮の一つのテクニックと語る小澤征爾さん。
ゆっくりおやすみください。
今までお疲れ様でした。合掌。