風のたより

まいけるのつれづれ〜読書日記を中心に

小澤征爾さんと、音楽のについて話をする/村上春樹

小澤征爾さんが亡くなられた時の、村上春樹さんの寄稿文。親友というより家族、いや自分の一部を無くしてしまったような哀しみが伝わってきた。

インタビューと言うより二人のクラシック音楽を仲立ちにした音楽&人生談義である。
村上春樹さんはジャズおたくだと思っていた。それは間違いだった。クラシックを含む音楽おたくだった。おたくは適切ではない。音楽は、村上さんの身体、生活の一部であり、理解も限りなく深い。たぶん、リズムとメロディが染み込んでいるのだろう。
文章を書くうえで、音楽からリズムを学んだという村上さん。そういえば、長編もリズミカルな文章と独特な比喩にひきこまれ、あっという間に最後まで読んでしまっでいる。
小澤さんの演奏に対する感想も、素人のそれではない。系統的に注意深く聴き込み、味わったものの感想だ。村上春樹、恐るべし。
小澤さんに影響を与えた「カラヤン先生」とバーンスタイン。そして齋藤秀雄先生。小澤さんの骨格は齋藤先生からできている。
スイスで若手音楽家セミナーを開き、ロバート・マンさんと指導する章が圧巻だ。
「ネジを締める」という追悼文の言葉も出てきた。小澤さんのマジックと若手音楽家のスパークで、弦楽四重奏が変容していく。そのさまを村上さんが、如実に文章で描いていく。
二人の天才のスパーク、面白い!