風のたより

まいけるのつれづれ〜読書日記を中心に

騎士団長殺し第2部/村上春樹

「ドン・アンナ」が登場してから、「ドン・ジョバンニ」(モーツァルト)の序曲を何度も何度も再生させながら読んだ。
ファンタジーでありながらファンタジーでない。絵を通して歴史に潜む真実みたいなものを語っている。
現実と非現実は曖昧で、存在自体も不確かである。
自分の中に沈思し、自分の本当の姿を見つけ、自分が欲していることを見つけていく。そんな話だった。
妻の懐妊は、1Q84の天吾と青豆を思い出した。1Q84はふかえりをなかだちにしていたけれど。
何と言ってもわたしと秋川まりえのからみが面白い。わたしとの繋がりでまりえの中の塊が溶けていくさまがいい。二人の時間をずっと見ていたかった。
暗黒の中でも、希望と信が仄かにたゆたう作品だった。