原田マハさんの美術の本は最初はなじまない。
私の日常とはかなり遠くにある。
デトロイトといえば、自動車工場とタイガース。
元阪神のフィルダーがメジャー復帰して、本塁打王、打点王になった。
そしてNBAピストンズ。アイザイヤ・トーマス、デニス・ロッドマンら悪童?が、マイケル・ジョーダン率いるシカゴ・ブルズに立ちはだかった。
そんなイメージのデトロイトの美術館と年金受給者がピンチを迎える。
第一章のフレッドとジェシカの話がすてきだ。
セザンヌの絵を愛する妻を愛するフレッド。
読み進めるうちに違和感は消え、いつの間にかデトロイトの住人になる。
何とか美術館と年金受給者を救いたくなる。どちらかでなくどちらも。
奇跡は起きる。
短編だけど、シンプルで密度と感動は濃い。