風のたより

まいけるのつれづれ〜読書日記を中心に

2024-02-02から1日間の記事一覧

旅をする木/星野道夫

星野道夫展を訪ねたことがある。 カリブーの群れ、アラスカの自然に圧倒された。 久しぶりに星野道夫の著書を手に取った。 インターネットが普及し、世界との距離が短くなった。というのは勘違いかもしれない。 想像力が退化し、リアルな体温のある世界が遠…

1Q84 BOOK3/村上春樹

明日にしようかなと思って読んでいるうち全部読んでしまった。それだけ緊迫感があるということか。天吾、青豆に加えて牛河が登場したからかもしれない。牛河の生い立ちには共感と憐憫みたいなものを覚えるが、これ以上近づかないでくれという思いが頭をもた…

1Q84-BOOK2/村上春樹

前半最後のヤマ場を迎えた。青豆のためらい緊張感の中、リーダーと青豆の対話が重ねられていく。全てがわかったうえで横になったリーダー。予想していた通りだったが二人の命懸けの?対話が深く興味深い。 天吾と青豆が教団とどう関わっているのか関わらざる…

1Q84-BOOK1/村上春樹

この本が話題になったころ、読み始めたのに途中で投げ出してしまった。村上春樹推しの娘に推され、再チャレンジ。面白くて、あっという間に1の前編を読み終わってしまった。青豆も天吾も、ふたりを取り巻くストーリーが魅力的だ。まだまだ道半ば。早く次が読…

月刊PHP2024年2月号

「これからも一緒にいよう」自衛官の夫の無事を祈りながら家を守る妻。災害時、連絡がないことがいかに心細いか。それをおくびにも出さず、子ども達と接する母。胸が痛くなる。 私が大切にしているのは想像力。先方が望んでいることを徹底的に聞き出し、その…

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド/村上春樹

上巻の倍のスピードで物語が展開していった。そう感じるのは、私の現実世界と僕の深層世界に完全に入り込んでしまったからなのか。読んでいると春樹節が時に炸裂する。「ブルックナーのシンフォニーの番号なんて誰にもわからない。」笑学生時代、ブルックナ…

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド上/村上春樹

「街とその不確かな壁」を読んでから、村上春樹さんがさらに好きになった。初めは文体、比喩の面白さにひかれた。でも、長編でも最後までミステリアスだ。この本も、最新作に似ている。私の場合、読む順番が逆なのだろう。二つの異なる世界がどうクロスして…

日本人のすごい名言/齋藤孝

名言力が、自分の心を支えていくという齋藤孝さんの思いあふれる名言集と解説。私の中では、茨木のり子の「自分の感受性ぐらい 自分で守れ ばかものよ」を含む「自分の感受性ぐらい」という詩がガツンときた。彼女が自分自身に向けて発している言葉が私にも…

改革する思考/原晋

箱根駅伝青学優勝に導いた原晋監督の本。今回はコロナ下でどう過ごすか、どんなアイディアを出してどう未来に向かうべきかが書かれている。原さんは陸上全体のレベルアップとステイタスアップを考えている。例えば、箱根駅伝のスタートとゴールに有料観客席…

逆転のメソッド/原晋

2024年の箱根駅伝で青山学院大が優勝した。負けてたまるか!大作戦このスローガン通り、盤石と見られた駒沢に大差をつけて優勝した。早稲田、中央学院を応援している私が、初めて心から青学を応援した。青学なら何か大きな流れを変えるんじゃないかと。逆転…

ちょうどいい孤独/鎌田實

孤独を生きる強さを磨く。くらべない生き方。感情日記を書いて、吐き出し、自分を認め自己肯定感を高めてソロ立ち。 鎌田實さんの実体験や傾倒した詩人についてのくだりが面白い!ボルタンスキー、田村隆一、プルーストなどなど。 わたしは昔からソロ活好き…

栗山ノート2/栗山英樹

ダルビッシュ投手の宇田川投手への細かい配慮。監督に進言するなどワンチームを作るために尽力していたんだなと改めて思う。離れることになった栗林投手に対しても、、、。 源田選手が骨折した時の落胆と焦りと迷い。源田選手と栗山監督の言葉のやりとりと涙…

栗山ノート/栗山英樹

栗山さんの現役時代のイメージはスマート。キャスター時代は甘いマスクで感じのいい人。その栗山さんがファイターズの監督、WBCの監督になり、名声を得た。でも、栗山さんはあくまで謙虚で学び続ける人だった。古典をひもとき、読書を重ね、それが投手交代、…

デトロイト美術館の奇跡/原田マハ

原田マハさんの美術の本は最初はなじまない。私の日常とはかなり遠くにある。デトロイトといえば、自動車工場とタイガース。元阪神のフィルダーがメジャー復帰して、本塁打王、打点王になった。そしてNBAピストンズ。アイザイヤ・トーマス、デニス・ロッドマ…

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/村上春樹

自分が選んだ以上、後戻りはできない。多崎つくるもその友人達も定められた場所で、それぞれの道を歩み続ける。後戻りができない哀しみを胸に抱えながら。 この小説はある意味、村上春樹らしくなかった。スピーディな展開。いつも楽しんでいる遊びの比喩も少…

あの星が降る丘で、また君に出会いたい。/汐見夏衛

恩返しが出来なかった人には恩送りを。この言葉に尽きる。両親が亡くなったとき、もっと恩返しがしたかったのに。そんな思いが何処かで燻っていた。でも、この小説で「恩送り」という言葉に出会って救われた。過去を悔やむより誰かのために自分のできること…

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。/汐見夏衛

紅白歌合戦で福山雅治が映画の主題歌を歌っていたので、検索してみたら、特攻隊の話だと知った。そして元日、その映画を観た友人がこの作品の話をしてくれた。偶然というか必然だと思い、早速読み始めた。ティーン向けに書いてあるので、戦争中の日常もわか…

汝、星のごとく/凪良ゆう

読めば読むほど切なく辛くなるのに何で読んでしまうのだろう。17歳に出会った井上暁海と青埜櫂。 二人は愛し合い、そしてすれ違う。物理的距離二人の仕事に対する思い二人の金銭感覚ズレていく二人。 同じような背景をもつ二人なのに気持ちがすれ違っていく…